秋の森のキノコ狩り報告

10月2日(日曜日)朝10時開始お昼12時半終了

先日の嵐のような雨風に,お天気を心配していましたが、朝から快晴でした。ストックホルム地下鉄グリーンライン終点アーカラ駅にキノコハンターが集合しました。そこから歩いて約15分のハンスタの森は、日本人会のキノコ狩り一行を青空で迎えてくれました。

美しい紅葉が黄色、オレンジと既に始まり、秋の訪れを青空の太陽の下で十分に感じました。日本人の多くは、時間に正確で遅れないというのは、本当のようです。手にした籠、長靴、森ダニにさされないように肌を出さないスタイルで颯爽と現れました。2時間から3時間の朝からお昼までの日曜の朝、日常と全く違う時間が流れ、充実した時間となりました。太陽が照らし青空の10月は、気持ちがよい季節です。森は、きりりとした朝の気温にしては、中にはいると守られるような温かさで迎えてくれました。ハンスタの森は、拒絶する森ではなく、自然が互いに調和がとれている森の印象でした。人間もきのこもバランスの中で生きている生態系の一部と感じさせてくれます。

森の入り口に集合し、シモン忍さんの説明を受けます。「今年は夏の間に雨がほとんど降らず、土が乾いてキノコがないかも知れませんが、秋の紅葉の森の中を散歩するだけで気持ちがいいものです。」と説明を聞いて、肩からしっかり力を抜きました。去年も、食用きのこがそれほどとれず、スウェーデン人の参加者が、食べられるというスポンジきのこをたくさん見つけてきました。図鑑で調べるとそのスポンジのキノコは、白樺の木にとって大事だということがわかりました。

 

松茸(Goliatmusseron Tricholoma matsutake)は夢のまた夢。松茸の香りは、スウェーデンのきのこの本では、小麦粉の香りの記憶に似ていると書いています。スウェーデン人ならば、カールヨハンKARLJOHAN/STEMPSOPPというキノコを見つけたら大喜びでしょう。

 

山崎純大使ご夫妻と一緒に森の入り口から総勢大人20名とお子さんたちと入っていきます。足取り軽く、森林の香りがする中を、どんどんと20150615_785800誰も怖がらずに中に歩いて入っていけるのは、みなさんと一緒という安心感があるからでしょう。(お楽しみ集合写真は、月末発行の会員向けデジタル会報にてごらんください)。

森の中は、クッションのように広がるコケやリンゴンの実のなる葉の茂み、夏の間青々していたシダも既に茶色になり、早くもクリスマスツリーの形をした針葉樹が出番を待っているように大きくなっています。しばらく進み、次には、別々に下を見ながら自然に脇の獣道にはいっていきます。笛を時々リーダーがならし、近いところにいて迷子にならないように、お互いに気を付けます。しばらくたつと、「あっ!見つけた!」という声が少し離れたところから聞こえてきました。きのこ見たさに人が集まります。そういう声があちこちから少しずつ聞こえ始めてきました。補習校の金子校長先生ご夫妻が見つけられたきのこにみなさんもびっくり!「食べられるか食べられないかは別として。いい香りがします。」リーダーがすかさず、「毒キノコでもいい香りのするものは、たくさんありますよ。」用意した紙の容器に一株が収まりきれないほどの溢れるような量です。きのこ図鑑と照らし合わせて見ていらっしゃいます。

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実際は、緑や枯葉の黄色い葉が重なっている地面からきのこが簡単に見えるわけではありませんが、見つけたいという強い気持ちで、最初にキノコ狩りをされる人も新鮮な目を持ちキノコを見つけます。「生態系の中のバランスで生きているきのこを尊重しましょう。」「毒キノコとわかり、食べられないからといって途中で切って捨てずにちゃんと土に戻してあげてください。丸ごと根元からとり、土に戻してあげてください。」シモンさんの言葉です。最近は、プラスチックを分解するキノコが見つかったり、ダイオキシンを無害にする環境によいキノコが発見されたとの報告もあるようです。

 

自然を敬うことをキノコ狩りを通して学びます。実践からの学びは、本で読むよりすっと頭に入ります。森の野生のきのこは、食べられるものでも、決して生で食べないこと。食べられるきのこでも大量にたべすぎないことなどキノコの本に書いています。スウェーデンのキノコの本LILLA SVAMP BOKEN (PELLE  HOLMSBERG&HANS MARKLUND)NORSTEDTS139krも参考になります。

太陽が照らす開けた場所で、みなさんと一緒に手作りのお弁当を広げて食べました。知らない森のきのこに素手で触った場合には、食事前には、おしぼりもしくはウェットテイッシュなどで手を拭きます。森の中の蜂も美味しそうに食べているめずらしい日本食の集団に興味を示して飛んできました。初めて作った燻製カレイとゆず胡椒、シイタケと人参の甘煮をいれたミスマッチの混ぜ寿司ご飯の甘酢の香りは、ありがたくも森の蜂は興味を示さず、お隣の美味しそうなおにぎりのほうへさっと飛んで行きました。

今日の私の偶然の収穫は、寄生しているさるの腰かけ類のキノコです。どらやきのようにいい色で、形も美しく、食用ではなく観賞用として二つ採りました。つやつやして姿形がよいのですが、元の木は腐食しぼろぼろになっていくと書かれています。また、赤い実ですが、リンゴンジャムに使われる野生のリンゴンやニッポンスープに使われる野生のニッポンも森には生えていました。日本では赤い実は、毒が多いのでめったに採りませんが、スウェーデンでは、ミートボール(肉団子)の付け合せにするリンゴンジャムにするリンゴンの実は、森の中でよく見かけます。周りの人に、リンゴンかどうか再度確認して採ります。

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「疑わしいきのこや知らないキノコは決して料理して食べないでください。」とシモンさんの言葉が聞こえてきます。森は、童話の絵にでてくるような森で想像力をたくましくします。印象的な鮮やかなオレンジ色の毒キノコが、地面から、誰にも邪魔されず、我物顔で居心地良さそうに立っていました。「これはどうみても毒キノコだって簡単にわかるからいいね。」とみんなで妙に安心して写真をぱちぱちと写しています。白いいぼいぼがとれていることがあると図鑑に書かれている通りです。

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とげとげのぶつぶつがあるキノコが立派に大きく株にもなっています。いぼいぼや姿形から一見し毒がありそうな感じもします。珍しいきのこで日本のスギタケ?Pholiota squarrosaの種類かもしれません。レア度は★印4つ。結局、持ち主から土に帰され新しい場所の居心地はどうでしょうか。堂々としためずらしいきのこ、今夜は暗い静かな森でほっとして眠っていることでしょう。

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