去る11月27日に、やさしい医学サイエンス講演会が成功裏に開催されました。
1.隅田周志先生(すみだのりゆき)先生、カロリンスカ研究所、MTC(Department Microbiology, Tumor and Cell )癌細胞微生物学部所属
「ゲノムDNAの空間配置から探索する発がん、進行の分子メカニズム」
全長2mにも及ぶヒトゲノムDNAがどうのようにして直径わずか10ミクロンの細胞核に収納されるのか。その中にあってDNAがいかにその機能を十分に発揮するのか。さらにがん細胞ではそれらがどのような変異が起きているのか。細胞核内における染色体収納の可視化、高次複合体の検出、DNAタンパク質複合体の空間的配置の研究に携わっている。
2.岩本英希(いわもとひでき)先生、カロリンスカ研究所、MTC(Department Microbiology, Tumor and Cell )癌細胞微生物学部所属
「肝臓がんに対する新規薬剤の効果(海洋生物ウニから抽出、合成された薬剤SQAP)」
日本では、肝臓癌は年間3万人が亡くなり、世界においても3番目の癌死の原因です。肝臓癌は、従来の抗癌剤が効きにくい癌として知られており、安全な新規薬剤の開発そして効果の有効性が求められています。
3.保坂佳代子(ほさかかよこ)先生、カロリンスカ研究所、MTC(Department Microbiology, Tumor and Cell )癌細胞微生物学部所属
「癌における血管新生の役割、効果」
癌の治療法には、さまざまなものがありますが、癌に酸素と栄養を送る血管を対象とした治療法を抗血管新生療法といい、最近日本でも使われはじめました。戦いにたとえると、兵糧攻めのようなものです。特に腎癌に関しては有効性が高く、2008年に日本でも承認されて使われ始めています。分子標的薬として知られるスニアチブ、ソラフェニブは血管を標的とした薬剤で、現在では、腎癌の治療薬としては、もっとも有効性の高い薬剤のひとつに数えられています。癌にとっての血管新生の意味、癌はどのように血管新性を制御しているのか。がん血管と転移の関係はどうなっているのか。
4.関 隆弘(せきたかひろ)先生、カロリンスカ研究所、MTC(Department Microbiology, Tumor and Cell )癌細胞微生物学部所属
「肥満(脂肪組織)と血管の関わり」
基礎研究を臨床研究に応用させていくための中間的な研究であるトランスレーショナルリサーチをおこなっています。がんおよび肥満における血管新生メカニズム解明の研究を進めています。肥満は、生活習慣病の中でも世界的に深刻な状況です。スウェーデンでは、約2人に1人が過体重もしくは肥満であり、日本でも肥満者は、近年増加しています。全身をめぐる血管が、脂肪組織において、重要な役割を担っていることに注目し研究を行っています。最近の研究で寒さと血管と脂肪とのかかわりでわかってきたことがあります。
講演後にはミングルタイムお茶交流会がありました。
聴講出席者24人と講演者4人、および、日本人会役員(4人)会長小牧、講演会担当金子、受付会計大森、会場係ローマーが32人が講演会後、質問しながら、講演者と会員同士の交流を深めました。大好評の日本人会手作りお菓子は、スウェーデン伝統焼き菓子2斤(会長のご主人サム氏制作)2色マカロン(会計とそのお嬢さんマリアさん制作)60個は大人気でした。
講演して下さった先生方、参加者の皆様、ありがとうございました。